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  • 2017.12.10 Sunday
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 黒船の襲来は日本企業の海外出張を変えるか――。5月14日、出張に特化した宿泊予約サイトがひっそりと日本に上陸した。ドイツ・ケルンに本社を置く「HRS(ホテル・リザーベーション・サービス)」だ。


HRSの最大の魅力は、同社と契約した企業(法人)の出張であれば、HRSがホテルと独自に結んだ割安な料金を適用できる点にある。HRS経由の予約だと、宿泊料金は通常の5〜30%、平均すると2割程度抑えられる。また、契約ホテル数は現在、大手チェーン系ホテル、独立系ホテルを合わせて全世界で190カ国・25万軒以上となっている。

 これまでも、グローバルで展開する大手チェーン系ホテルの営業担当者と企業の出張管理担当者との間で毎年、個別にコーポレート料金で契約し、相場よりも割安に宿泊することができるシステムはあった。だが、こうした年間契約を独自に行っているのは、一部の大企業に限られる。

 また、域内の全ホテルのうち、ハイアットやヒルトン、マリオットなどといった大手チェーン系ホテルが占める割合は、北米では52%なのに対し、欧州では12%、日本においてはわずか6%しかない。つまり、コーポレート料金が適用できるホテルというのはそう多くなかった。

■ 危機管理などにもメリット

 HRSを使うメリットは、料金の安さや提携ホテルの多さだけではない。ホテルからの手数料収入で運営する収益モデルとなっており、契約企業には契約料やシステム利用料などの費用が一切かからない。また、すでにコーポレート料金をホテルと独自に締結している企業でも、その料金をHRSのシステム上に反映させることができる。
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 さらに、HRSのシステムは契約企業ごとにホームページをカスタマイズできるようになっており、検索をした際に会社の出張規程の範囲内であるかの確認もできる。企業側からも、出張者がどのホテルに宿泊しているかを瞬時に把握することができ、海外出張における危機管理にもつながる。

■ 出張にまつわる煩雑さを排除

 海外ホテルの予約といえば、エクスペディアやアゴダ、ホテルズドットコムをはじめ、楽天トラベルやH.I.Sなども力を入れている。これらはB to Cビジネスとして展開しているが、B to BのHRSとの最大の違いは決済方法にある。

 エクスペディアでは、ホテル料金の事前決済を基本としており、宿泊3日前を過ぎてしまうと、キャンセル料が発生する(一部返金なしの場合もある)。これに対し、HRSはホテルでのチェックアウト時に直接支払うことを原則としている(キャンセル料はホテルごとに設定)。旅行などで予定がはっきり決まっている場合には事前決済のほうが適しているが、日程変更や急な宿泊手配も多い出張手配においては、現地払いを好む企業が多く見られる。

 HRS日本法人の三島健社長(エクスペディアの日本法人であるエアアジア・エクスペディア・ジャパンの前社長)は、日本における宿泊予約サイトの需要拡大に自信を見せる。

 「B to Bマーケットにおいては、B to Cに比べると(宿泊予約の)システム化・オンライン化が進んでいない。企業の人がオンラインで利用できるホテル予約システムはまだまだ市場に出始めた段階だ」

 大企業の海外出張手配においては、法人顧客をメインターゲットにした大手旅行会社のビジネストラベル専門の子会社や、インハウスと呼ばれる企業が運営する旅行会社が、航空券・ホテル・現地での移動などをトータルで手配するのが一般的だ。

 ただし、これには不備もあった。5月14日に東京都内で開催された、企業出張手配について考えるACTE(Association of Corporate Travel Executives)のフォーラムでも、企業の出張手配担当者からこんな意見が出た。

「出張手配は旅行会社に任せることが多い。その際、航空会社と旅行会社の営業担当者間での調整(法人料金での手配)はできているが、宿泊については、旅行会社とホテルのコミュニケーションが取れていないケースも多く、高くなってしまうこともある。結果、コーポレート料金を適用するのに企業側から手配するケースも出ている。ワンステップで手配したい」

 そうした状況の中、これまで旅行会社が得意としてきた海外出張の航空券手配においても、航空会社が旅行会社を通さず、企業と直接契約を結ぶケースが増えている。

 その背景には、旅行会社が航空券を手配した場合に航空会社から旅行会社へ販売手数料を支払う制度が廃止され、航空会社のホームページで販売する「ゼロコミッション」という直販モデルがこの10年で確立されたことが挙げられる。

 全日本空輸(ANA)では「ANA Pro Flyers Bonus」、日本航空(JAL)でも「JAL コーポレート フライトメリット」という名称で、直販スタイルの法人向け航空券に力を入れている。ANAの場合、5万円利用ごとに1000円分のクーポン、さらに企業全体でANA国際線および国内線を半年間で2000万円以上を購入すれば、ANA国際線が5%割引、5000万円以上の利用で10%割引といった特典を設けている。

 ネット予約が確立された現在では、個人単位の海外出張であれば、航空会社の法人向けサイトから航空券を購入し、法人向けの宿泊予約サイトからホテルを予約することで、出張経費の削減が可能となる。そこに、HRSのような法人をターゲットとした宿泊予約サイトの存在意義が見えてくるかもしれない。

■ メリットの素早い訴求がカギ

 すでに個人旅行においては、リアル店舗型の旅行会社から、航空会社やオンライン専門の旅行予約サイトへとシフトが進んでいる。今後は、海外出張で飛行機とホテルを手配する場合においても、オンラインにシフトしていくことだろう。実際、HRSは欧州を中心に全世界で4万社以上の法人と契約を結んでいる。

 「お客様に対してどんなメリットが提供できるのか、類似のサービスがあまりない状況の中で、早い時点で企業などに提案することができれば、勝算があると思う」と三島社長は話す。海外出張におけるホテル手配の風雲児になれるか否かは、価格面でのメリットを企業に浸透させられるかにかかってくる。

  • 2017.12.10 Sunday
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